38人が本棚に入れています
本棚に追加
/189ページ
6 ☆ ☆
重尾が報告した内容は、すでに地元の警察が調べた内容とほとんど変わらない。
亡くなった女子女子生徒、山田サラは桐島に暇があれば付きまとっていた。周りの者は一線を超えるのではないかと懸念していたが、桐島はきちんと線引きができていたようだ。
山田サラには親しい友人がいない。時々奇妙なふるまいをするので敬遠されていた。山田が話しかけるのは桐島先生だけ、他の者は全く無視していた。
自分たちが仲間外れにしていたのではなく、山田が自分から外れていたのだ、と言うのがクラスメイトの主張だった。
いじめ隠しとも思える。しかし、山田の両親も他人を無視するような娘の態度に悩んでいたと証言した。クラスで浮いていることを苦にするような子ではなかった。
ではなぜ山田サラは教室の窓から水から飛び降りたのか。
最後に会話をした桐島とは何を話したのか。
警察の調べに、桐島は、特に変わったことを話してはいないと言った。10分休みにやってきてとりとめもないことをしゃべり続ける山田を適当に受け流しつつ、早く授業に行けと言おうとしたらスッといなくなってしまった、と。
そのことを裏付けることはできなかった。教室を移動する際に、山田サラにまとわりつかれている桐島の姿を目撃している生徒はいたが、話の内容までは聞き取れてはいなかった。
「でも、いつもと変わらない感じでしたよ。サラがしつこく話しかけて、桐島先生が適当に相槌うってるの、ほんとにいつものことです」
生徒はそう証言した。
これは、花屋のシラユキちゃんにつながってしまうのか。
学校で転落死した女子生徒と、シラユキちゃん。
つながるとしたら?
俺は何を調べたらいい?
ああ、分からん。重尾はベッドの上で頭を抱えた。
よし、こんな時は気分を変えよう。重尾は、古い友人に会いに行くことにした。
最初のコメントを投稿しよう!