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6 ☆ ☆
「毒・・・」
「毒がどうかした?」
「中田さん。花の毒って、強いものなんですか?」
「いきなりどうした? 何か捜査に関係ある?」
「いや、そう言うわけじゃないですけど」
「警察官なら、『植えて悪いケシ』、知ってるでしょ。あれなんか、かわいい花が咲くよ」
「ああ、分かります」
「トリカブトもヤバいよね」
「そう言う、すぐ死ぬやつじゃなくて、催眠術的な毒みたいなのってありますか」
「操るってこと?」
「そうです」
「うーん。意図的に操るのは難易度が高いんじゃないかな・・」
「そうですよね。すみません変なこと聞いて」
「いいよ。毒物単体だったら難しいかもしれないけど、何かの合わせ技だったら行けるかもしれない。調べておこうか?」
「ありがとうございます。あと、『スノウ・ホワイト』って聞いたことありますか?」
「スノウ・ホワイト? 花の名前?」
「はい」
「ありそうな名前だけど、聞いたことないな」
「ああ・・・ありがとうございます」
夕食でも、と言う中田の誘いを重尾は断った。遊びで来ているわけではないと思ったからだ。中田さんは変わってないけど、俺は変わらないといけない。
玄関を出た後、防犯カメラをにらみ、真ん中めがけて銃を構える仕草をした。
「あたり」
インターホンから中田の声が聞こえた。
思わず笑いそうになったところで、スマホに着信があった。事件事故の速報を告げるメールだ。
『〇〇駅周辺ビルから人が転落。事故、自殺の両面で捜査。』
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