桐島

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女子は難しい。いや、異性は難しいっていうべきなんだろう。実習室に入れて、サシでコーラで乾杯なんてできない。それだけでセクハラだ。でも彼女たちはそういう触れ合いを求めてきがちだ。寂しい自分にかまってくれる場所と人を、いつだって探している。 相手は誰でもいい。いつも実習室にいる気のいいお兄さん、今はおじさんに絶賛移行中の桐島などは最適なポジションを占めている。 彼女たちは自分の痛みを吐き出したら 『ところであなたはなぜこんなところにいるんですか』 とでも言いたげな目で桐島を見て、勝手に傷をいやし、勝手にまた傷ついて、泣きついて、気が済んだら離れていって、卒業していく。それで終わりだ。 卒業したら俺のことなど思い出しもしない。最初は、なんて身勝手な連中だと思った。 でも、それでいいんだ。そうでなくてはいけない。俺は先生なんだから。学校は通過点だ。さんざん手間をかけた後、そこから羽ばたいていけばいい。 山田サラも、そんな風に思ってる生徒の一人だった。 でも彼女は通過していかなかった。山田サラは、飛んだ。校舎の窓から。アスファルトに突き刺さるように、首から落ちた。
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