38人が本棚に入れています
本棚に追加
/189ページ
「いや、・・・」
今、そいつとキスしてただろ?
その言葉を桐島は飲み込んだ。
山田サラは、しらを切ってるわけではない。いくら女子の扱いが得意でないと言ってもそれくらいは分かる。彼女は本当に、何も覚えていない。
「先生、放してよ。カップルみたいで恥ずかしいじゃん」
サラはそう言うと、スキップしながらハウスへと戻っていった。
俺はいったい何を見たんだ。夢でも見たのか。
ハウスの中から
「サラちゃん、そこの軍手とはさみ、持ってきてくれる? 」
という濱井さんの声が聞こえた。ハウスの入り口で立ち止まっていた山田サラは、中に入ることができた。
濱井さんは、そんな声かけがとても上手だ。他の女子も落ち着いて作業をしている。さっきの出来事が夢みたいだ。
あれは、本当に夢だったんじゃないか?
最初のコメントを投稿しよう!