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「意外だなあ。こんなにかわいいのに。」
また笑う。この人にはずっと笑っていてほしい。それをずっと見ていたい。
「はい・・・ごめんなさい。」
「いや、謝らなくていいよ。俺も旅行中だし。買っても育てられないや」
彼は鉢をシラユキに返した。
受け取るときに、指が触れた。彼の指は温かかった。もしかして、わたしの指は冷たいのだろうか。シラユキはあわてて指をひっこめた。
「なんか申しわけないから、花束作ってもらおうかな。小さいやつ」
「え?」
「花束だったらホテルに飾れるから。」
どうしよう。ブーケは作ったことがない。シラユキはショーケースを開けて呆然としてしまった。彼はその横に並んでのぞき込む。
「あ、もうアジサイがある。季節感でるよね。それとその横の、名前分からんけど青いポンポンしたの、いいね。」
ああもうわからない。シラユキは言われるがままに花をまとめた。
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