重尾

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相変わらず、三階の窓に明かりが灯っているだけだ。重尾はタブレットを広げてカメラを開いた。このタブレットには望遠機能に優れたレンズがついている。灯のともっている窓に焦点を当てる。もちろんカーテンが降りているから中の様子は見えない。 そりゃそうだよな、とタブレットを閉じた時、ビルの影にひらりと身をひるがえす何かが見えた。 「え?」 思わず重尾は立ち上がった。ほんの一瞬暗い夜の影にひらめいたのはシラユキの姿だった気がした。あそこには、外階段があったなあ。さび付いていたが、使っているのか。 重尾はしばらくの間立ち尽くしていた。胸が高鳴るのは、業務上の緊張感なのか、それともシラユキの姿を見ることができたからなのか。 考えたくなかった。
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