重尾

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「あーあ」 濱井はつぶれた茎の部分をはさみで切り落として、半端に残っていたラッピングペーパーでヒマワリをくるんだ。 『特価 300円 ユキより』 メッセージカードに勝手にそう書いて、シラユキに渡した。 「好きな花足して、プレゼントしなよ」 濱井は少しだけひじを動かして、重尾を示した。重尾は、優しい目でシラユキを見ている。 シラユキはショーケースを開けた。白い、星屑がちりばめられているような花を選んだ。それをヒマワリの隙間に何本かさして、重尾に渡した。 「ありがとう」 金色に輝くヒマワリを小さな白い星屑が取り囲んでいる。花束を受け取るときに、重尾はシラユキの手をそっと握って、すぐに放した。力をこめたらするりと滑り落ちてしまいそうな儚い感触だった。 この子と、何を話したらいいんだろう。目の前に確かに存在しているのに、どんな言葉もすり抜けてしまうようなとりとめのなさだ。それなのに、熱い息遣いだけが伝わってくる。 「この白い花、スノウ・ホワイトだったっけ」 やっと会話の糸口を見つけられた。 「はい」 「君と同じ名前なんだね」 「え・・・あ・・はい」
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