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いや、その『リュウセイ』はたぶん起きている。重尾は先ほどからカメラ越しに新しい視線を受け止めていた。憎悪、だろうな。ぶるっと身震いした。憎まれるような経験は少なかったからなあ。この仕事を続ければ、増え続けていくんだろうけど。
視線が時々外れる。きっとシラユキを見ているんだろう。再び視線が戻ってくるたびに憎悪の感情は強くなってくる。
恋か。
シラユキの身近には、シラユキのことを好きな男がいる。
その男は一連の事件にどのようなかかわりを持っているのだろうか。重尾は考えようとした。でも無理だった。二人がどんな関係なのか、そちらが気になって仕方がない。
重尾は視線を避けるように店の外に出た。濱井とシラユキが後を追うように出てきて、濱井がシャッターを下ろし、
『本日は午後一時より開店します』
と張り紙をした。
「なんか、ご迷惑じゃないですか?」
「平気平気。平日の午前中なんて、店開けてても意味ないくらいお客さん来ないから。ユキちゃんも、ホレさんに会いたいよな」
「うん!」
満面の笑みに、重尾は思わず目を背けた。まぶしすぎたのだ。この子はひまわりだ。
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