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シラユキには自分と同じ道を歩んでほしくない。それだけがマドレの願いだった。スノウホワイトから抽出した毒をターゲットとの接触を最小限に抑えて効かせたい。
そのためにリュウセイとマドレはその実験を夜の街で繰り返した。マドレがスノウホワイトを口に含み、程よいタイミングでリュウセイに半分口移しする。共有されたスノウホワイトを同じ人物に作用させる。マドレが口づけをし、リュウセイがささやく。
最初はホテルの一室で。次はショットバー、居酒屋。接触時間は短く、不特定多数の中に紛れ込めるような場所を。
すれ違いざまに酔わせてターゲットを誘導できるようになったころ、リュウセイはマドレに言った。
「今、お前が俺とやっていることを、シラユキにさせるのか?」
「そうよ。」
「させなくて、いいんじゃないか?」
「どういうこと?」
「俺とお前でやっていけば、あいつを巻き込まなくていいじゃないか」
「そうね。こんなこと、させたくないわね。でも、何もできない女の子が、最後何を売らなければならないか、わかるでしょう」
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