好き焼きもち

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─── 「ユキさん、うどんどこ?  ぜんぜん見当たらないよ」 俺は冷蔵庫の中とユキさんを交互に見ながら言った。 「おかしいなぁ、よぉく探してみ」 ユキさんは間のびした口調で、鍋から目を離さず片方の眉毛を上げる。 「ここにはないだろ、、、ここにもないし」 仕方なく上段から隈なく探していると、呑気な声が背中に響いた。 「あ、汰くん、こっちにあったわ」 「なんだよもぅ〜」 頬を膨らませてテーブルに戻って見れば 2回目の肉は既に無くなっている。 「あっ、肉がない!」 「汰くん、さっさと食べないから」 ユキさんは澄ました顔で再び野菜を入れ始めた。 「さっさ(・・・)も何も、ユキさんが冷蔵庫から うどん出せって言うからっ、 だから俺っ、、、」 「飯ぐらい静かに食えないのか、お前は」 食う手を止めた亮介さんが、いよいよ呆れ顔で俺に注意した。 「食えるよっ」 次の肉は絶対に食ってやる! てんこに盛られた野菜を平らげ、次なる肉が焼けるのをじりじり待っていると、 「汰くんの携帯かな、音鳴ってない?」 ユキさんが肉をひっくり返しつつ、俺を見て言った。 「え」 リビングのキャビネットの上に置いてた俺のスマホに目を向けると、僅かな音を立てて振動していた。 「ほんとだ」 立って行って見ると、画面に表示されていたのは柏木さんの名前だった。
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