それだけじゃないんだ

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「就職活動?」 最初に思いついたことを聞いてみる。 若菜はバイトをしているけど、そろそろ本格的に就職活動を始めてもおかしくない。 就職するには金髪よりも黒髪にした方が先方の印象もいいはず。 黒髪にしたことを恥ずかしく思っているのか、若菜は俯き加減で答えてくれた。 「ちゃうちゃう。ウチさりげ、バ先ではアリよりのアリくらいにしごできだから」 「ちょっと何言ってるか分かんない」 「ん?」 「私にも分かるように教えて欲しいな」 「あー、そうだよね。えーっと、今のは……『違うよ。私、実はバイト先ではみんなより仕事出来る人だから』だよ」 「うん、そう言ってくれると助かる。で、若菜って何のバイトしてたんだっけ?」 「高級和食料亭の仲居」 「え、ギャルの格好で?」 「そだよ。ウチ、外国人セレブに人気なんだ。ジャパニーズギャルって言うの?外人からしたら珍しいみたいよ。んで、店からは正社員にって誘われてるんだけどね、断ってる」 「え、それって、いい話なんじゃないの。どうして?」 「だってウチ、ワンチャン玉の輿狙ってっから」 「そうなんだ。じゃあ、就活のためじゃないんだね」 「そだね」 「じゃあ、何で髪の毛黒く染めたの?」
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