それだけじゃないんだ

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「ウチのこと、バレたかもしれなくてさ」 「え、バレた?」 「そう。だから、変装してるんだ」 「変装?」 「髪の毛黒くしたら、ウチだって気付かれないかな、と思って」 「で、なにしたの?」 「いや……、言わなきゃダメ?」 「そこまで言ったら最後まで聞かせてよ」 「笑わない?」 「笑わない!」 「ウチ、ディズニー好きなんよ」 「私も好きだよ」 「でさ、無性にディズニーランド行きたい時ってあるんよ」 「うん、私もあるよ」 「でもさ……ギャルって友達たくさんいるじゃん?」 「それは若菜だけのイメージじゃ……」 「でさ、行ったんよ。ディズニーランド、一人で」 「一人で?若菜って意外とアクティブだね」 「楽しかったんよ、すっごく。ミッキーと握手もできたし」 「良かったじゃん」 「でも、バレたかもしれないんよ」 「何がバレたの?」 「ツレのSNS見てたらさ、同じ日にディズニーランド行ってたらしくてさ。投稿画像の奥の方でミッキーと握手してるウチが写ってたんよ」 「それ、ダメなの?」 「だって、誰と行ってたの?って聞かれたらどうすんのさ!ギャルが一人でディズニー行ってたの知られたらマジ終わる」 「考え過ぎじゃ?……あー!それで髪色黒くして、そこに写っているのは若菜ではないですよっていうこと?」 「そうなんだけど……」 「ん?」 「黒くしたのは、髪だけじゃないんだ」
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