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そう言うと若菜は顔を上げ、ニッと口を開いた。
その口の中は真っ黒だ。
うわぁぁぁぁぁぁぁ!歯がない?
と思ったら、歯が黒いだけだった。
「それって、お歯黒?」
ちょっと待って、と若菜に断り検索する。
ーーーお歯黒とは、歯を黒く染める化粧法。黒は染まらない色ということから貞操を守りますという既婚女性の誇りとなっていた。
とある。
「ウチ、バイト先のツレに合コン誘われたんよ」
「うん、……で?」
「ウチ、ダンナいるじゃん?」
「ダンナって彼氏の事だったよね。で?」
「合コン行ってダンナ持ちって言ったらホワイトキックじゃん?」
「ん?」
「あ、白蹴るってことね」
「う、うん。……で?」
「浮気するわけにもいかないし、歯が黒ければ、ウチが言わなくても、ダンナいるって思ってくれるんじゃないかなって」
「その合コンにお歯黒の事、詳しい人がいるといいね」
「ま、逆に結婚してると思ってくれてもよき」
「逆に、の使い方違うような……」
「とりま、そゆこと」
「それが歯を黒く染めた理由なんだ」
「いや、それだけじゃないんだ」
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