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「あ、しおりん」
汐里に気が付いた樹は、彼女の方を向いてにこやかに手を振った。
だが、汐里の動きが何かおかしい。
「オ、オ、オ、オハヨ!!」
カチンコチン、ロボットのようである。
「おはよ。どしたの?何かあった?」
樹が心配そうに汐里の顔をのぞき込む。
「え、な、何もないデスッ!」
樹に見つめられ、顔を真っ赤にしてしまう汐里。
数日前に二十歳の誕生日を迎え、最後のチャンスとばかり樹に告白した。
気持ちが昂ぶって泣きながら大好きな気持ちを樹に伝えたところ、彼は汐里を抱きしめて、そして言った。
『オレたち、つき合おっか』
『うんっ!!』
だが、その後が問題だった。
樹は汐里の彼氏で、汐里は樹の彼女なのだ。
そう考えただけでクラクラしてくる。
今まで、樹に好き好き言い続け、更にはお嫁さんになりたいだのなんだのと遠慮無しに言っていたことが信じられないほどだ。
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