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「ニヤニヤして気持ち悪いな」
照れ隠しのように文句を言った夕聖がネクタイの結び目に人差し指をかけて軽くゆるめる。
雨瑠はのそっと立ち上がると、夕聖の顔に手を添えて唇を重ねた。外気にさらされて冷えていた夕聖の唇がじわっと熱をもつまで触れ合わせてから、そっと顔を離す。目元がほんのり色づくのを見下ろしながら、スーツの上着を脱がせて、ゆるんだネクタイに手をかけたら、夕聖がためらいがちに見上げてきた。
「…ネクタイの外し方なんか分かるのか?」
「ああ、何度か見てっからな」
「首絞めないでくれよ…」
雨瑠の腕に手を添えて、夕聖が気恥しそうに目を逸らす。不安なんじゃなくて、着ているものを脱がされたり、ネクタイを外されるのが恥ずかしくてたまらないらしい。
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