第一部

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 男性は助かったことに呆然としていたが、すぐに我に返る。 「あの、ひとまず(うち)に来てください。じゃないと風邪引きますから」 「あ、ああ…」  男性はそれだけしか言葉を発せずにいた。黙って暖多について行く。途中でコンビニに寄って男性の簡易的な着替えを買うと、そこからすぐ近くの暖多の住むアパート二階の部屋に入る。全身びしょ濡れの男女がコンビニに入ってきたので、当然だが店員はぎょっとしていた。  帰宅すると暖多は一目散に浴室に行き、蛇口全開で湯張りをした。その間に、新しいバスタオルを二枚おろして一枚を男性に渡し、買ってきた着替えを袋から出して「これ、着替えです。脱いだら洗濯機にそのまま入れてください」と言って渡す。お湯がたまったら止めて普段使いのバスタオルを持って出て行った。
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