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「それもそうか」
クオンこと軍事用ヒューマノイドQ-U-ON1984は、戦争のために存在している。
それでもチャーリーは人間に接するように言葉を続けた。
「実は提案があるんだ。もし戦争が終わって君が何をしたらいいか分からなくなったら、僕のレストランへ来ないかい?」
「レストラン……?」
「手続きは大変かもしれないけれど、君の第二の人生の提案だよ。いや、ヒューマノイドだからヒューマノイド生?」
「響きが悪い」
「ははは」
じゃがいもを大きな寸胴鍋に入れて、ひたひたの水を注ぐ。火をつけると、だんだんと室内も暖まってきた。
続けてチャーリーは人参に手を伸ばす。
「もうひとつ案がある。もしも、万が一。僕がこの国で亡くなることがあったら、僕の最愛の人の助けになってほしい」
「サユリ・ウィルソンのことか」
チャーリーは力強く頷いた。
「君になら安心して託せるような気がするんだ。彼女はとてもエネルギッシュな人で、一緒にいるとすごく力を貰える。元気が出ないときは彼女のふわふわオムレツを食べると、たちまち気力が湧いてくる」
それ以外の料理はからっきしなんだけどね、と故郷で待つ恋人へ想いを馳せる。
「僕がこの世からいなくなったとしても、彼女には笑って生きていてほしいんだ」
――fin.
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