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雪の降り積もる、寒く凍える夜だった。
薄暗い養護施設のダイニングキッチンで、チャーリー・ミラーは翌朝の食事の仕込みをしていた。
ぽっちゃりとした体型で、いつもにこにことしている。トレードマークは短く刈り上げた茶髪と銀縁眼鏡。
お人好しを絵に描いたような人物だと、彼と出会った者は評することが多い。
部屋の隅には銀髪のヒューマノイドが無表情で立っていた。
「プロポーズの言葉か?」
「ははは。結果的にはそうなった」
チャーリーは間もなく故郷でレストランを開業する。
その前に、同盟国である隣国へ、食事ボランティアとして派遣されてきていた。
人当たりの良さで、彼は子どもたちにすぐさま受け入れられた。
帰国の日は迫っているが、ずっとここにいてほしいと懇願されることもしばしば。その度に、待っている人がいるんだとチャーリーは答えていた。
「ねぇ、クオン」
じゃがいもの皮を剥き終わり、水にさらしながらチャーリーは声のトーンを上げた。
「君は戦争が終わったら何がしたい?」
「質問の意味が理解できない」
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