82人が本棚に入れています
本棚に追加
あざとい姫とナイト達と魔女
私の仕事は手配業務。電車や飛行機を予約したり、ホテルを抑えたり。
営業が取ってきた仕事を形にする。
地味だけどこの仕事は好き。
基本お客様と直接顔を合わせたりする仕事ではない。
うちの場合、手配業務は女性社員が多い。男性は50代の上司と本社から定年退職をしてきた60代のおじさん。
だから営業部や企画部の男性社員が部屋を訪れるとキラキラ女子たちはざわめいたりする。
キラキラ女子の代表は私の後輩、新入社員の木村若葉。頭の先からつま先まで「女子」だ。
いいところのお嬢様らしく、本社の経営者一族の誰かと婚約をしているとかいう噂もある。
本人は若い男性社員には
「えー?そんなの嘘ですよぉ。父がなんか勝手に縁談とか言ってますけど、私はまだまだ仕事を覚えるのが精一杯で、結婚なんて考えられない。それよりもちゃんと仕事しないとまた先輩に怒られちゃう!」
そう言って若葉は怯えたようにチラッと私の方を見る。
これで「かわいくて可哀想な後輩」と「人気者に嫉妬してイジメをする意地悪な先輩」が出来上がる。
お姫様を守る騎士のごとく私に敵意を向けるのは辞めてほしい。
最初のコメントを投稿しよう!