美魔女と魔女の出会い

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美魔女と魔女の出会い

 氷室涼音。  それが私の名前だ。随分寒そうな名前だと自分でも思う。  私の家族はちょっと変わっている。祖父はイギリス人とのハーフ。祖母は北欧の出身らしい。アメリカに旅行中に祖父と出会い、結婚して日本にやってきて私の母を産んだ。  母はほぼ日本人の見た目をしていなかった。モデルなどをして高校を出ると世界中を放浪した。  ある時、祖父母の元を訪れ、生まれたばかりの私を押し付けたらしい。父親のことを聞かれても何も言わなかったとか。どうなんだろうね?母親自身もわかっていなかったのかもしれない。  母はある日私を置いたまま 「ちょっと出かけてくる」 と言って、そのまま24年。   しっかりパスポートは持っていったらしいからもともと帰るつもりがあったのか、なかったのか。 ずいぶん長い「ちょっと」「出かけてくる」だ。  私は祖父母の養子になった。だから母とは姉妹になったわけだ。 ルーツが実にグローバルな私は子供の頃からその見た目で異質だった。 色素の薄い肌と髪の色。子供の頃はアンバランスなスタイル。  顔立ちも多国籍の混じったハッキリした目鼻立ちが小顔と言われる輪郭にくっついている。  小学生の頃から家にまで訪れるスカウトにはうんざりだった。  高校生からは髪を暗い色に染め、できるだけ地味に下を向いて生きるなんて真似をしていた。 「で?どうするの?今日はやってく?」  過去をうだうだ回想していた私に彩女さんは声をかけた。  彩女さんは年齢不詳の美魔女だ。三年半ほど前、会社に入社して歓迎会の飲み会で口説いてくる賢也から逃れ横道にそれた場所にあったこの店に逃げ込んた。    初めてあった時、彩女さんは私の顔を見て   「あら。サクラの娘?」と言った。    その名前は確かに私の「ちょっと出かけている」母の名前だった。   「母のことを知ってるんですか?」 「知ってることはその存在。今どこで何をしているかなんて知らないわ。手がかりを探して来てくれたのなら残念だろうけど。」 「いえ、探してはいません。ここに入ったのは偶然で。」 「そう。予期せぬ出来事を偶然とも運命とも言うわね。」  彩女と名乗ったその人は母のモデル時代の友達らしかった。元モデル仲間と言われて納得するほど、彩女さんはうっとりするほどの美人だった。大きな瞳は黒目が大きくて。  親しくなってから聞いたことだが、このせいでモデルとしては成功しなかったのよ、という大きな胸はドレスの中でも存在を主張していた。 「あなた、サクラによく似てる。少なくとも外見は。」
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