ブライダルフェア・パニック

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「お、お祖母ちゃん、いや、母に?」  冴月さんがさくら()とデュボワさんのことをどこまで家族に話しているか分からなかったから、こう呼ぶ。 「涼音、ご両親のことは後からわかると色々面倒なことなると思って先に母と祖父には説明している。『お祖母ちゃん』で大丈夫だ。あと、桧山さんや山田もまあ、あれだけホテル内でさくら様とデュボワ様が涼音に付きまとっ……じゃなく、お気に召している様子をみれば、言われなくても理解している。」 ………、そうよね。暇さえあればラウンジで盗撮、覗き見、号泣だもんね。 「私達新郎側だけが参加だと申し訳なくて。ソフィアさんもお祖父様も喜んで参加させていただきます!って言ってたわよ。」 だーかーらー!これって代役の、模擬結婚式ですよね?なんで身内大集合なわけ?  第一、冴月さん母、いつの間にお祖母ちゃんと繋がったの? 「そこは、ほら、SNSで。」と冴月さんのお母様。  お祖母ちゃん、日本語使いこなしてないのに、SNSは使いこなしてるのね。    そこへトーゴさんが慌てて入ってきた。 「冴月!ヤバイ!涼音さんの親父さんにバレた!」  よっぽど慌てていたのか、普段の仕事モードを忘れて「同級生」の話し方になるトーゴさん。 「あ、ああ、今、母から聞いた。間もなく氷室ご夫妻が到着するって。」 「違う!そっちじゃない!外務大臣と会合に行っていたデュボワ様が模擬結婚式を聞きつけてすぐさまホテルに帰ってくる!」 ……逃げたい。 「しかし、なんでバレた?代役決まったの数時間前だぞ。」 「あー、それ、多分笠間チーフです。」 と、桧山さんが言う。 「笠間チーフが?」 「笠間チーフ、去年娘さんが産まれたんですよ。そりゃもう、溺愛してて。で、デュボワ様の娘LOVEに共感しまくりなんですよね。盗撮、いや、写真撮影もわざわざ見えやすいところで涼音さんに接客させて協力してるし、何かあればすぐに連絡するようにアドレス交換してました。」    なんてこと!やたら笠間チーフが 「あ、そちらのテーブルでどうぞ!」とお客様をご案内するのはそのせいか!  なんてこと!あの二人パパ友か!  世の中のSNSをすべて呪いたい私だった。
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