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「……はい。大事な……親友を取られるので」
「うん」
各務は優しい母親の目で微笑んだから、危うく涙が溢れるところだった。
「それに、選ぶのは友貴なので」
写真を見て、使うかどうかは友貴次第だ。でも、どちらでも良くなっていた。やっと、これで吹っ切れる。
「じゃあ、また。結婚式の写真を撮ったらお願いします」
「楽しみにお待ちしております」
いつも、各務の優しさが嬉しかった。
河原の土手を歩いていると、友貴から電話がかかる。
「もしもし? うん。届いた?」
友貴は電話の向こうで泣いていた。
夕日が静かに川に落ちる。
了
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