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「変わり種で買ってみたけど……使い方を考えなきゃ。ノスタルジックな雰囲気になるかなと思ったんですけど、思った以上に赤くなりましたね」
「人物を撮ったらどんな雰囲気になるんでしょうね」
「……ホラー?」
「好きな人は撮らない方が良いかもしれませんね」
各務はそう言って肩をすくめた。
「でも、夕焼けをより鮮やかに写したり、今なら紅葉を印象的に写せるかもしれませんよ」
「……なるほど。あと二本あるので、色々やってみます」
写真を鞄にしまっていると、店のドアが開いて冷気が流れ込む。
「万智、現像どうだった? 各務さんこんにちは」
「こんにちは」
各務が気さくな笑顔を見せた。
「友貴。今日は早く帰る日じゃなかった?」
「いいの。どうせパパの気まぐれで外でご飯食べるってだけだから」
「じゃあ、各務さん。また写真を撮ったら持ってくるので宜しくお願いします」
「楽しみにお待ちしております」
友貴が写真店を出る時、ちらりと各務を見た。
「何?」
「ううん。私もショートにしようかなって思って。ピアス、見えて可愛かったし」
友貴はゆるいパーマをかけた様な癖毛を指先でつまんだ。
「そのままが可愛いのに」
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