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「うん。真面目なのが友貴の良いところでもあるよね」
「でも、っていう所が引っかかるけど……」
「ごめんごめん。私だって、不安になるのは同じだよ」
「そっか」
「ねえ、写真撮ろうよ」
「いいけど、ホラー写真になるんでしょ?」
「ーー夕日に染まった良い感じの二人が撮れるかもしれないし」
「じゃあ、やってみよう」
二人は夕陽を背にしてシャッターを切った。場所を移し、ポーズを変えて何度でも。もう、この場所には戻って来れないと分かっていたのかもしれない。
「じゃあ、現像出来るの楽しみにしてるね」
帰り際、友貴は子供の時にした約束みたいに手を振った。万智も同じ様に返した。
二人は大学生になり、社会人になり、大人になるにつれ、友貴の方が先に好奇の目で見られる事が耐えられなくなった。そして、友貴は一人の男性と出会い、万智から離れて行った。
そして、それから数年後。
万智は結婚式に流す動画に使う写真を探していた。
「うわ。これ、もしかして……」
クローゼットの奥から取り出した箱に、大量の赤い写真が出てきた。
ーー好きな人は撮らない方が良いーー
あの時の各務の言葉は正しかった。
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