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「吉崎君、いい加減にしてくれ、迷惑だ」
「迷惑? 何言ってるんです。
僕は皆に頼りにされて……」
その時、視線に気づいた。
客やパートが俺を見る目。賞賛ではなく、犯罪者を見るような侮蔑の視線。
ありえない。
「僕は正義だ……」
肯定の返事はなく、店の軽快なBGMだけが響く。
警備員が駆けつけ、店長と一緒に僕を引っ張っていく。
「すみません、お騒がせしました。もう大丈夫ですよー!」と明るい声が背後で聞こえた。
バックヤードに入る前、あの幼稚園の女の子が手を振ってきた。
「ばいばい」
「……」
母親が引きつった顔で女の子を抱え、逃げるように去っていった。
その後。
店長からクビを告げられ、放り出されるように僕は外に出た。
あてもなく歩く。頭の中をさっきの出来事が何度もリプレイしていた。
ヒーローをクビにするなんて、馬鹿じゃないのか。
どいつもこいつも。
ああ、イライラしてきた。
クソ、誰にこの怒りをぶつけよう。
僕は、なんとなくスマホを開いた。
「……え?」
立ち止まり、急いでアプリを開く。
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