三週間後

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「吉崎君、いい加減にしてくれ、迷惑だ」 「迷惑? 何言ってるんです。  僕は皆に頼りにされて……」  その時、視線に気づいた。  客やパートが俺を見る目。賞賛ではなく、犯罪者を見るような侮蔑(ぶべつ)の視線。  ありえない。 「僕は正義だ……」  肯定の返事はなく、店の軽快なBGMだけが響く。  警備員が駆けつけ、店長と一緒に僕を引っ張っていく。    「すみません、お騒がせしました。もう大丈夫ですよー!」と明るい声が背後で聞こえた。  バックヤードに入る前、あの幼稚園の女の子が手を振ってきた。 「ばいばい」 「……」  母親が引きつった顔で女の子を抱え、逃げるように去っていった。  その後。  店長からクビを告げられ、放り出されるように僕は外に出た。  あてもなく歩く。頭の中をさっきの出来事が何度もリプレイしていた。  ヒーローをクビにするなんて、馬鹿じゃないのか。  どいつもこいつも。  ああ、イライラしてきた。  クソ、誰にこの怒りをぶつけよう。    僕は、なんとなくスマホを開いた。 「……え?」  立ち止まり、急いでアプリを開く。  先日のコメントに、1万を超える「いいね!」がついていた。
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