23人が本棚に入れています
本棚に追加
〇週間後
どうやら俺の居場所は、小さいスーパーではなく、広大なネットの中だったらしい。
「会社役員、警察署長と複数回交通違反もみ消しの疑い」
パソコンを開き、標的を探していると恰好のニュースが流れてきた。
既にたくさんコメントがついている。
「特定班はよ! 住所求む」
「警察終わってんな」
「いくら使ったんだろ」
俺はニヤニヤしながら読み進める。
ネットにはこんなに仲間がいる。悪は制裁を受けなければならない。
俺の手によって。
「クソが自業自得。なんで自分だけは大丈夫だって思ったんだろ。頭悪いw 財産没収して俺たち善良な国民に献上しろよ」
ニュースを引用してつぶやくと、フォロワーたちが拡散して、次々「いいね!」がつく。
昼夜問わずパソコンに張り付き、ニュースや渦中の人物に片っ端から制裁コメントを送る。
正義を遂行するって、気持ちいい。
夢中になってキーボードを打っていると、インターホンが鳴った。
無視する。
だけど、鳴り止まない。
「吉崎! いるんだろ、大丈夫か!?」
ついにはドアがドンドン叩かれ始め、俺は舌打ちして玄関に向かった。
最初のコメントを投稿しよう!