〇週間後

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 刈谷がいた。驚いた顔をしている。 「吉崎……だよな?」 「そうだよ。何の用だよ」  「連絡とれないから様子見に来た」  止める間もなく、刈谷は上がり込む。 「暗いな。カーテン開けていい?」 「やめてくれ、断熱効果が下がる」 「今日は涼しいよ。ってかもう昼だぞ」  刈谷は構わずカーテンを開けた。  まぶしい。俺は顔をしかめる。 「吉崎、痩せたな。大丈夫か?  なんか食べたいものはないか」  刈谷は冷蔵庫を勝手に開ける。 「ない……。お前、いいからもう帰れよ」 「なんもないな。ちょっと買い物してくる」    なんなんだ。まるで親みたいに。  ペースが乱される。  親ガチャ失敗したデブなんて、俺より下のはずなのに。  窓を閉めようと立ち上がった時、刈谷が持ってきた紙袋を倒した。  床に封筒が散らばる。  ポストに溜まってたのを持ってきたらしい。全部俺宛てだった。
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