〇週間後

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「俺は悪くない、俺は正義だ」  ふらふらとベランダに出る。太陽が目を射た。  審判の光のように思えた。  もう彼女も、内定も、居場所もない。  薄々、気づいていた。  本物の正義なら、きっとこんなに責められることはない。   「吉崎ー?」  刈谷が戻ってきた。  母親想いで、俺を心配してわざわざ駆けつけてくれた、優しい友達。  床の封筒が、落ちたパソコンが、俺たちを隔てる川のようで。  その光景を見て、俺は思い知らされた。  いつの間にか、悪に染まっていた。  もう、元に戻れない。  正しくありたかったのに。  いや、まだ間に合うか?  俺は手すりを乗り越えた。 「おい!」 「大丈夫、制裁するから」  俺は笑って飛び降りた。    みるみる地面が迫ってくる。  激突する寸前、正しいことをしたと確信した。  これで悪を排除できる。  俺もそっち側に行ける。  そうだろ?
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