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「あの!」
男が振り返る。
自動ドアまで、あと5メートル。
「なに?」
「すみません、そのカート、見せてもらっていいですか?」
「はぁ?」
周囲の客の視線が僕たちに集まる。
男の眼光は鋭い。
すごい迫力だ。
僕はごくり、と唾を飲み込む。
間違いだったらどうしよう。
でも、今さら引っ込むことはできない。
息を吸って、勢いのまま言った。
「――レジ、通してないですよね」
瞬間、男の目が揺らいだ。
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