序章 世界の終幕

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序章 世界の終幕

 魔法円と光球が散りばめられた天井が、夜の世界を透過する。  半円球の硝子張りの温室に似た、広大な室内の中央には二本の樹木が並んでいる。  硝子の外には星空が無限に広がる以外、何も見当たらない。  浮遊する城の頂にあって、この星……シャスラーンで最も高い場所だ。それでも手に届かない星々は、玲瓏たる光で、室内を淡く照らした。  厳かな星明かりの下で、一人の若者が立ち尽くす。  壊れた鎧姿の青年は、自らも血を流しながら、その研ぎ澄まされた剣先を赤く濡らしている。  その色よりやや明るい炎の色をした髪が割れた兜から零れ、虚ろな青い瞳は冷たい床を映していた。
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