第五章 ほどけた絆は結ばれて①

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 朝食を終えて部屋に戻った海里華は、古ぼけた床に純白のかけらを発見した。そっと指でつまむと、柔らかな陽だまりのぬくもりがあった。  かけらと思ったものは、大きな羽根だ。夢の終わりに舞った、あの雪のように白い羽根……。 「夢……じゃない?」  海里華は和らいでいた心と共に、表情を引き締めた。すぐさま伊世の娘でなく、水を司る精霊主(エレンシア)としての顔になる。急いで服を着替えながら、素早く頭の中で次の行動を計算する。  相談相手に、灯真の顔が浮かんだのは、これが初めてだった。今まで緑寿の養い子という認識であったが、はたして信頼できるだろうか。  技量で言うなら灯真はもう、王城の騎士にも魔法使いにも引けを取らない。春が過ぎれば、狭間の城へ向かう、長い旅が待っている。  しかし心はどうだろうか。純粋すぎる灯真が隠し事を抱えることに、海里華はまだ不安を感じていた。
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