7人が本棚に入れています
本棚に追加
八年.緑寿とはそんなに長い付き合いになるのか。海里華は改めて時の流れの速さを感じた。海里華もそうだが、緑寿も過ぎた歳月を感じさせず、二十代後半の若い姿を保っている。
人間であっても、魔力の高い家系の者は、老化が緩やかで長命となる傾向がある。
彼はいったい何歳なのだろうか。海里華は何度か問うたが、「忙しいから忘れてしまったよ。祝ってくれる家族もいないしね」の一言ではぐらかされる。
周囲の話では季宗が王太子に定まった年に、ふらりと精霊主を名乗り王宮に現れたそうだから、少なくとも四十歳を超えているはずだ。
「灯真。そういえば、緑寿の過去について何か知っているの?」
「いや、全然……聞いても教えてくれないし」
灯真はお手上げといった表情で、首を横に振った。
最初のコメントを投稿しよう!