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 八年.緑寿とはそんなに長い付き合いになるのか。海里華は改めて時の流れの速さを感じた。海里華もそうだが、緑寿も過ぎた歳月を感じさせず、二十代後半の若い姿を保っている。  人間であっても、魔力の高い家系の者は、老化が緩やかで長命となる傾向がある。  彼はいったい何歳なのだろうか。海里華は何度か問うたが、「忙しいから忘れてしまったよ。祝ってくれる家族もいないしね」の一言ではぐらかされる。  周囲の話では季宗が王太子に定まった年に、ふらりと精霊主(エレンシア)を名乗り王宮に現れたそうだから、少なくとも四十歳を超えているはずだ。 「灯真。そういえば、緑寿の過去について何か知っているの?」 「いや、全然……聞いても教えてくれないし」  灯真はお手上げといった表情で、首を横に振った。
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