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「きっかけは、緑寿の側にあるのかもしれないさ。海里華は神珠を通じてそれを感じ取った。そう考えられないかな」
灯真は光を湛えた青い瞳で、海里華を痛いほど見つめた。いつだったか王立図書館で勉強していた時もそうだが、灯真の成長には目を見張るものがあった。
緑寿や海里華から学んているだけでない。すでに自分で判断できる知性や洞察力を、灯真は身に着けているらしかった。
「でも灯真は、夢を見なかったのね」
「それは海里華と緑寿に強い絆があるから……だとすれば、僕は全然、心を許し合う仲じゃないってことなのかな?」
海里華は、余計な一言だったと反省した。自分で築いた仮説に、灯真は衝撃を受け落ち込んでいる。お互いの絆はまだまだ成長の余地がありそうだ。しかし、海里華は灯真のそんな純朴な所も、嫌いではないと思い始めていた。
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