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 目の前には、美味しそうに湯気を立てたムルガフという料理が、大きな葉で出来た器に盛られている。  炊いた穀物の上に、炒めた海老や貝、白身魚に野菜も惜しみなく乗せて、とろみがかった海鮮汁で味付けしている。灯真は「いただきます」と大匙ですくい、見る見るうちに料理を胃袋におさめていく。 「どう、美味しい?」  伊世が尋ねると、灯真は何度も頷いた。 「王都のある内陸部は、焼いた川魚が主流だから、こんな料理は初めてです。海の魚は祝いの席の食べ物だけど、シュタルトでは誰もが食べられるんですね」 「おっと、敬語はやめなよ。普段のままでいいよ、ここはあんたの実家だと思えばさ」  伊世は日焼けした顔で、快活に笑う。海里華から灯真の生い立ちを聞いて、すっかり彼に同情しているようだった。
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