7人が本棚に入れています
本棚に追加
「はい……ええと、うん」
「この界隈でも、漁師になる者が多いからね。余った魚をうんと安く仕入れさせてもらっているんだよ。おかげで、下町でも皆が美味しい料理を食べられる。嬉しいことだねぇ」
「お料理、追加してもいいかな?」
「もちろんだよ!」
意外と食べるんだ。四年間も一緒にいて、新しい発見だった。王都では普段、大人に囲まれているし、旅では食料が豊富でない。拾われた身の灯真が、緑寿の前でさえ食事を遠慮していたことに、海里華は今まで思い至らなかった。
自分には伊世がいる。しかし、灯真は家族と不仲であった。
日頃、緑寿は灯真に甘いと考えていた海里華だが、そうでなければ信頼を築けないほど心が弱っていたのだ。
最初のコメントを投稿しよう!