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➂
次の日、精霊主たちは港の波止場に集まっていた。
まだ薄明るい空と重なる水平線が、ようやく赤味を帯びる時刻だ。寝静まる町とは対照的に、港は活気づいていた。夜間に漁と出ていた船が次々と帰ってきて、漁師たちが慌ただしく獲れたての魚を市場へと運んでいく。
「今日は、魚がよく獲れたようだね」
漁船が大漁旗をはためかせているのを見て、灯真が安心したように感想を述べた。
この沿岸で水龍が暴れ、漁船を襲うようになったのはこの数か月のことだった。確かに、今日は何事もなかったようで、海里華もほっとした。
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