3/24
前へ
/164ページ
次へ
 しかし、仲間とともに王都に連れていかれた後、服役したのち罪を許された。  夜倶多はその腕っぷしを買われ、各地の警備を担う巡視隊の隊員となったのだった。 「すでに何艘もの船が沈み、漁師が犠牲になっている。これ以上被害が広がらないうちに、手を打たないとな」  緑寿は言葉を濁したが、『禍つ闇』となった水龍を葬り去るということだろう。  海を愛する半魚族と、海で死んだ者の魂から生を受けた海里華としては、複雑な心境だった。表面上は頷いたが、魔種の精神を蝕み暴走する『禍つ闇』は、夜倶多にとって、それにおそらく海里華にとっても他人事でない。
/164ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加