7人が本棚に入れています
本棚に追加
序章 世界の終幕
魔法円と光球が散りばめられた天井が、夜の世界を透過する。
半円球の硝子張りの温室に似た、広大な室内の中央には二本の樹木が並んでいる。
硝子の外には星空が無限に広がる以外、何も見当たらない。
浮遊する城の頂にあって、この星……シャスラーンで最も高い場所だ。それでも手に届かない星々は、玲瓏たる光で、室内を淡く照らした。
厳かな星明かりの下で、一人の若者が立ち尽くす。
壊れた鎧姿の青年は、自らも血を流しながら、その研ぎ澄まされた剣先を赤く濡らしている。
その色よりやや明るい炎の色をした髪が割れた兜から零れ、虚ろな青い瞳は冷たい床を映していた。
最初のコメントを投稿しよう!