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私たちがバーへ入ると、美雪と美冬はもちろん、陽翔さんの従兄弟で秘書の栗原尚哉さんやご友人の小早川凰さんなど10名ほどが、カウンター前でドリンクを注文したり、すでにグラスを手にして談笑していた。
「おめでとう。お疲れ様、陽翔、鈴さん」
一度お会いしたことのある尚哉さんが‘陽翔’と呼ぶのはプライベートの時だけだと聞いている。
「ありがとうございます」
私がそう応じると、皆が‘おめでとう’と言ってくれる中で
「陽翔と鈴さんも乾杯のドリンクを持って下さい」
お義父様とお義母様とお話されていた小早川さんが私たちにおっしゃった。
「そうだね。鈴、何がいい?」
「普通に…いつも飲むものしかわかりませんけど…」
「じゃあ、シャンパンカクテルを作ってもらう?」
「はい、陽翔さんにお任せします」
私のすぐあとに美雪と美冬がきゃぴきゃぴしたのでビクッと驚く。
「キャー鈴、見せつけちゃって」
「バーテンさんにお任せじゃなく、陽翔さんにお任せするんだって」
「…ぁ…申し訳ありません。美味しいシャンパンカクテルをお願いします」
私がバーテンさんに注文し直すと、皆が笑い、陽翔さんは私の背中を撫で、バーテンさんが
「かしこまりました。ベリーニはいかがでしょうか?」
と桃味のシャンパンカクテルを作ってくれた。
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