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母と祖母は和装ではあるが、先ほどまでとは違う着物に着替えている。
結婚式と披露宴で母は色留袖を、祖母は黒留袖着ていた。黒留袖はもちろん第一礼装。母はチャペルでの挙式に合わせて色留袖を選んだのだと思うが、それには背中、両袖、両胸に紋が入っており、格式は黒留袖と同等の第一礼装となっていた。だから二人とも着替えて来たのだろう。
何となく気になって、陽翔さんの左手を持ち上げ、彼の腕時計で時間を確かめる。
「なんかそれいいな」
尚哉さんが私たちにそう言ってからおかわりに行き、陽翔さんは
「大丈夫か?あと20分くらいだ」
と私の両肩を撫でる。
「大丈夫です…時間がわからなかっただけ」
「もう一杯飲む?」
「甘くないのがいいです」
「じゃあ、スプリッツァーとオペレーターを注文するよ。どちらか気に入った方を鈴が飲めばいい」
陽翔さんが白ワインベースのカクテルを注文してくれる隣で皆を見ていると、小野田の5人はゲストにお礼を言って回っているようだった。
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