3428人が本棚に入れています
本棚に追加
アフターパーティーへ挨拶にだけ顔を出すようパパに言われて、パパたち4人に連れられて歩きながら、網野先生の話にあった‘マウンティング’について思い出す。
マウントとは、見栄を張って相手よりも自分の方が優位だと見せつけるような言動を指す。そのマウンティングしがちなのが私で、ターゲットが鈴だったのだ。妹だからでもなく、ただ毎日ターゲットに出来るからと私が無意識に選んだ相手。その相手がいなくなってしまって‘終わった’とチャペルで感じたのだと思う。
バーに入ると、いくつか談笑の輪が出来ており、皆が自由に楽しく飲んでいるようだった。パパたちは飲むのではなく、新婦家族として参列のお礼を伝えて回るつもりらしい。誰も戸籍のことは知らないので不自然ではないのだろう。
鈴の友人の双子に、ママが
「受付のお役目もありがとうございました」
と頭を下げたあと
「一度、綾もお二人にお会いしたことがあるんじゃない?」
私に聞いてくる。
「ええ、そうね。今日はどうもありがとう」
私が双子にそう言うと…ポン…私の背中を軽く叩いたのはママだったので驚いた。
「綾」
「…今日はどうもありがとうございました。ごゆっくりお楽しみ下さい」
ママに促され言い直すと
「こちらこそ、ありがとうございました」
「ドレスまで準備していただいて…しかもレンタルじゃないなんて私たち‘役得’なんです」
と双子がドレスのスカートを持って笑う。そうなの?そんなもてなしをする結婚式って聞いたことないわ。
最初のコメントを投稿しよう!