拝啓 お義母さま

予定表

お義母さんが、自分の予定を書き込んでいるカレンダー。

10月18日のところに筆ペンで大きく書いてある内容が、私にはわからなかった。

「お義母さん、この10月18日に書いてある“10月18日”って、なんのこと？」

メモ書きをじっと見ていたお義母さん。

「これは福子が書いたんやろ？」

「私じゃないって、筆ペンなんか使わないし」

なんでもかんでも筆ペンでメモる習性あり。そのカレンダーを、さらにまじまじと覗き込むお義母さん。

「あー、わかった、これはおとうさんが酔っ払って書いたんだわ、意味がわからんもん」

絶対違う、このものすごいクセ字はお義母さんなんだから。
そのことには触れずに私は答える。

「日付に日付を書いてもわからないのにね」

「ホント！おとうさんにも困ったもんだわ」

やれやれとため息をつくお義母さん。
決して、ボケてしまったとかではなく、お義母さんには、特技がある。
“自分の失敗は何がなんでも認めない”
という特技が。

こんなことはしょっちゅうなんだけど、それをすべて問い詰めるのも気が滅入るから、たいていはスルーすることにしている。
その日付の書かれたカレンダーを見ていたお義母さんがまた私に訊いてきた。

「ところで18日は何日？」

やれやれ。