34人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
「相馬くん」
枕もとのスマートフォンを握り、アドレスを繰った。
ソウマ シュンイチ
学生時代からずっと、これまで何も変わらないと思っていた二人の関係。
でも、変わっていたのだ。
変わるのが怖くて、認めなかっただけ。
あの時、本当は嬉しかったのに。
「もしもし、相馬くん?」
『めぐみ……』
私の電話に、すぐに応答した彼の落ち着いた声。静かな呼びかけ。ときめきのせいで、さらに熱が上がりそう。
『すぐに行くよ。ミックスジュースを、忘れずに』
雲間から射す太陽の光に、彼の顔が重なる。いつも、どんな時も傍に寄り添い、見ていてくれた。
私は微笑み、ようやく素直に嬉しいと言えた。
最初のコメントを投稿しよう!