王家の影Ωは王太子αに溺愛される

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「このままお前を閉じ込めてやりたいよ」 「美しいその赤い瞳に俺以外の誰も写してほしくない」 「さぁ早く俺の子を産んでおくれ」 「さぁ…」 嫌だ嫌だ!!どうして!!こんなことをなさるのですか…!! そう叫んだ所で目が覚めた 外はまだ暗く窓からは街頭の灯りが見える そうだあの煌びやかな王宮ではない 俺は一般人なんだ そう言い聞かる 隣を見れば一定のリズムで寝息をたてる愛おしい息子がいる 瞳は青色のグラデーションがかったまるで夜空に浮かぶ星をイメージしたかのようで髪は自分に似た黒髪 頭を撫でてやると寝ぼけているのか「かかしゃま…だいすき…」と言う その可愛らしさに思わず口元が上がってしまうが同時に申し訳なさで潰されそうになる 「我慢させてごめんな…」 3歳になったこの子には父親が居ない 成人した日に薬を盛られ発情させられた無理矢理な行為 避妊も何もしていないのに子供が出来ないわけがなく、俺はその日逃げ出した 数日間いや、数ヶ月歩くところにあった村に住むことになった 正直俺はこの子を愛せる自身がなかった 堕ろそうとしたこともあった そんな悩みの中、日は過ぎ後戻り出来ないところまで腹が大きくなり、子を産む決心が着いた そして生まれた我が子 手を握って笑った顔は忘れられない 嬉しかったそして愛おしかった 子を産んで良かったと思った しかしこの子には父親がいないし、俺も働かなくてはならない 幸い近所の方が預かってくれるが、寂しい思いをさせてしまっている (あの方にこの子の存在を伝えたらこの子は寂しい思いをしなくて済むのだろうか) そんな考えが頭をよぎってしまう 頭を振り外の空気を吸おうとドアを開ける すると風が吹いた 柔らかく、何故かの匂いがした風が これは重症だな 視線を向けた先には(皇后決定!)という号外 しかし匂いを嗅いだ途端どうも気持ちがスッキリした 「なんででしょうね…」 「何がだ」 その声の元を辿る こちらを向きながら椅子に座る彼 「な、なんで…」 「我が妃の元を尋ねるのに許可なんていらないよ」 彼はいつものあの冷たい微笑で俺を見つめる その瞬間から時が動いた 「さぁ帰ろうか、0、いやこの村レイか?」 どうしてこうなったのだろうか それは今から9年前 俺がいや、俺たちが12歳の時まで遡る
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