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「折角お散歩に来たのに」
「うん! 綺麗だね! 」
ばささと羽ばたいて飼い主の肩に乗ったオカメインコの様な生き物はくるりと辺りに視線を巡らした。
わざとらしいなぁと思いつつもそれが可愛らしくて恵子は相棒の頭を掻いてやる。
「ノっ君がこっちの世界に来て初めてのクリスマスだからさ、こっちの街のデコレーションとか見せてあげたかったの」
「うん!Livey Islandとは違うね。なんかこう…… こうっ・・・・・・ 違うねぇ! 」
語彙が追い付かない彼が体だけで表現しようとしている。
Liveyには奥行きのある空間がとても新鮮に映るようだ。彼らが2次元のコンテンツだったからだろうか。
去年のクリスマスはこんな幸せな気持ちになど到底なれなかった。
Liveyのサービス終了は去年の12月26日12:00だったのだ。
一年前の恵子は胸が潰れんばかりの悲壮と絶望感に囚われ、それこそ聖夜の奇跡に縋りたかった。そしてそれは起こらなかった。
それを想うとこうして再び愛する家族と過ごせる事に胸が熱くなり目頭が熱くなってしまう。
本当に良かった。本当に良かった。
ただ、その一方で恵子は心苦しくもあった。なぜならノっ君は恵子にしか認識できず、そしてそこから出ることが出来ない。
もともとLiveyはソーシャルサービスだ。そのためノっ君には大勢の友達が居た。
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