🎄暗殺🎄

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「ああ!情け無ぇー!」  ピットは(ふさ)ぎ込んでいた。女房や子供たちにプレゼントもしてやれない。明日、良い子たちの為に配るプレゼントは山のようにあるというのに、自分の子供にプレゼントをやれない事を嘆いているのだ。かといって、良い子たちのプレゼントに手を出したとあっちゃあ、親サンタとして子供たちに示しがつかない。長年連れ添ってくれてる女房にも今年こそは、温かいコートでもプレゼントしてやりたかったのに、あのひろパチーノの野郎のせいで…。クソッ! すると子供部屋から長男が満面の笑み飛び出して来た。 「父ちゃん、七面鳥とケーキと自転車をありがとう!あと新しいセーターとマフラーと手袋は兄弟でお揃いなんだね!」  するとピット家の七人の子供、三男四女が次々と飛び出して来ては、口々に「パパありがとう!」「父ちゃんありがとう」とそれぞれのプレゼントに感謝して来る。ぬいぐるみ、テレビゲーム、プラモデル、新しい画材、絵本、お菓子やケーキまで、ピットには身に覚えのない商品が子供部屋に用意されていたのだ。 「あんたぁ〜!ありがとう!ひろパチーノの旦那に頼んでおいてくれたんだね!」  今度は寝室から女房が涙ながらに、飛び出して、抱きついてくるではないか。プラダの新しいコートとネックレスを身につけて、ひろパチーノからの手紙をピットに見せる。 Merry Xmas ピット家の皆さん。どうだい?ピットからのプレゼントは気にいったかい?毎年毎年良い子にプレゼントしに回って忙しいピットに頼まれてたもの。たしかに届けたよ。「クリスマスイブに家族にプレゼントができないサンタクロースの家なんて、この街に一軒たりともあっちゃいけねぇよ。」と去年ピットが酔っ払って、ボヤいてた事を思い出して、今年は心を鬼にしてみんなの家から、プレゼント用のお金を預かって回っていたんだ。 だから、これはピットの金で用意したものだ。良いお父さんに感謝しなよ。 明日はクリスマス。 明日からも頑張ってくれよ。 じゃあな。 ひろパチーノより。 ピットは手紙を読んで泣いていた。突然窓を開けて大声で叫ぶ。 「ひろパチーノの旦那〜!ありがとよー!」 近所からも同じような喜びの叫び声が、あちらこちらから聞こえて来てた。 「ビバ!ひろパチーノ!」 「ブラボー!ひろパチーノ!」 いや、クリスマスシカゴの街中に怒号のような歓喜の声が広がっていた。 「ひろパチーノの旦那あ〜!」 「プラボーひろパチーノ!」 「ビバ!ひろパチーノ!」 「プラボー!ひろパチーノ!」 「ブラボー!ブラボー!ブラボー!ブラボー!ブラボー!」 「ありがとう〜!」 あれ?今、長友佑都いなかった?
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