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俺は親父が仕事をしていた高い塔に登った。
記憶を辿りにダイヤルを回してみたが、思うように色が染まらない。
少しでもずれると、変な色になってしまう。
「この仕事、小さい頃は単純で退屈そうに見えたけど、大変だったんだな…」
親父は間違えることなく、毎日、色を染めていた。
本当に魔法使いだったのかもしれない。
「今度は俺が…空の色を伝えていく。見ててくれ、親父」
俺が死んだときは、一緒に地上の空を見ような。
慎重にダイヤルを回し、空を染めていく。
青、橙、黒。
再び、空が染まる。
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