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ぼくのお父さんは、空をそめるしごとをしている。
お父さんは、きまったじかんに高いたてものにのぼって、ダイヤルを回す。
すると、空はちがう色にそまっていく。
あお、だいだい、くろ。
この三色で空はできていると、お父さんにおしえてもらった。
地下にすんでいるぼくは、ほんとうの空を知らない。
地上はすめなくなるほど、よごれてしまったらしい。
お父さんは空の色をわすれないために、このしごとをしていると言っていた。
「お父さん、このしごとたのしい?」
ダイヤルを回すだけのしごとは、たいくつに見える。
でも、お父さんはニコニコしながら言った。
「ああ、楽しいよ。空を染めることが出来るなんて魔法使いみたいだろう?父さんはこの仕事を誇りに思ってる」
「ふ~ん」
お父さんがダイヤルをゆっくり回しているすがたを、今日もうしろから見ていた。
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