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あなたの手を握った形のまま、僕の手は、あなたのほっそりとした冷えた指の感触を唐突に失った。
僕は茫然と立ち尽くす。
僕に続いて一歩を踏み出して、あなたの体が光にすっぽりと覆われた瞬間の、不思議そうに空を見上げたその横顔が、薄い膜のようになって、今ある現実の景色と重なって映し出される。
日の光を湛えたあなたの目は煌めいていた。
白い肌はまるで内側から光っているようだった。
あなたはとても、とても美しかった。
その一瞬の、あなたの最後の残像の先で、暖かな光に染められて、あなただったものが、ただの砂粒のようにして真っ白にそこに降り積もっている。
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