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6. 仲直りのために
それから、次の日も、またその次の日も。
考えれば考えるほど、そして時間が経てば経つほどに、返事が打ち辛くなってしまった。
まるで底なし沼に足を取られたかのように身動きが取れなくなり、MINEを開くことにも抵抗を感じるようになっていた。
しかもどうしてか、こちらから連絡できていないだけでなく、三笠くん側からの連絡もパタッと来なくなった。
いつもなら毎日meteorの情報を共有し合っていたのに、それが全く無くなるという異常事態だ。
……こっちも連絡できてないから、お互い様ではあるけど。
はあ、と部屋の中で一人ため息をついて目線を右に移すと、ふとそこにあるものが目に入った。
「あ……これ」
先日三笠くんに貸してもらった、meteorが過去に出したCDの初回限定盤。
初回限定盤だけDVDが付いている仕様で、今ではもう購入できない一品だからと、先日遊んだときに貸してくれたのだ。
もちろんDVDは借りたその日に早速見た。
なんならもう何度も何度も、両手があっても数えきれないくらい繰り返し見ている。
「これ……そろそろ返さないと」
そこでピンと思いついた。
これを返すことを口実にして、彼と話せないだろうか?
「……とは言っても、学校ではなあ……」
人目のあるところでは話しかけにくい。
先日の一件もあるし、何よりmeteorの話は人前でできない。
でも、これを口実にするのは良い案だと思う。
ぐぬぬと頭を抱えて悩み、出た答えは……。
「三笠くんはいつも一人だし、昼休みとかに教室を出たときに追いかければいける……かも?」
私は、翌日学校で返すことを決意して、CDを透けないビニール袋に入れてから、鞄に忍ばせたのだった。
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